2021/6/7
みんなちがって、みんないい<紙面掲載文>
「鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい」
あまりに有名な童謡詩人金子みすずさんの詩の一節です。
もう一つ私が大切にしているのは、阿弥陀経というお経の中の「青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光」という言葉です。
みすずさんの詩も阿弥陀経も、あたり前のことを言っています。しかし、そのあたり前が大切だと思うのです。社会や教育が、身勝手なものさしで、子どもを大人の都合で型にはめてしまうことのないようにと思います。一人ひとり、あるがままに、幸せになれる世であればよいと思います。それが一人ひとり輝くということではないでしょうか。過ちを犯した人に「なんでそんなことをしたのか、ダメじゃないか」と非難しても簡単には受け入れてもらえません。「あなたはあなたであっていい」と一旦は絶対的に肯定して認めてあげることが、人を勇気づけ、立ち直らせることもあるのではないでしょうか。
私は「寄り添う」ということばを多用します。それは小さい子どもをお世話する幼稚園の先生から学んだものです。子どもが「寒いよ」といえば「寒いね」と返す。「痛いよ」といえば「痛いね」と返す。子どもの苦しみや痛みや喜びを自分のこととして受け止めるのです。決して「寒くなんかない、だらしないね」とは言わないのです。私はスポーツが好きです。スポーツは勝つことだけが目的ではありません。勝者があるところには必ず敗者がいます。勝つことだけに価値があるのなら、はじめからスポーツは成り立ちません。勝ちもよし、負けもまたよしなのです。やっぱり、みんなちがってみんないいし、みんな一人ひとり輝く大切な存在だから、お互い尊重し合い、認め合い、寄り添い合うのだと感じます。
(なかね やすひろ)
月報 岡崎の教育 令和3年4月発行 No.575より
発行・編集:岡崎市教育委員会